ウクライナ支援に「日本流」 復興費58兆円、政府は企業の参加促す

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上地一姫 足立優心 星井麻紀
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 ウクライナの復興を見据えた国際社会による支援のあり方を議論するウクライナ復興会議が21、22の両日、ロンドンで開かれる。60カ国超の国、機関、企業、市民団体などが参加。日本政府からは林芳正外相が出席し、官民を挙げた支援の旗を振る。ただ、戦禍が続く地への支援はまだ見通しづらく、安全をどう確保するかなど課題も多い。

 「戦時下において喫緊の課題となっている地雷対策、エネルギー、水衛生保健、教育、農業といった分野で、スタートアップを含む日本の企業には多くの知見がある」

 首相官邸で19日に開かれたウクライナ経済復興推進準備会議。議長をつとめる木原誠二官房副長官はこう述べ、官民一体で支援する方針を強調した。ロンドンでの復興会議に合わせて、ウクライナのニーズを把握するために両国の政府・企業関係者が集まる会合を独自に開くという。

 欧米のように武器を輸出できない日本は、復興支援を「貢献の柱」(岸田文雄首相)としたい考えだ。東日本大震災の経験も生かしたい考えで、19日には復興庁とウクライナ地方・国土・インフラ発展省が覚書を結んだ。省庁間の連絡窓口を設け、震災復興の教訓を提供する。来日中のクブラコフ副首相は締結式で「戦争で破壊された全てのインフラ、住宅、経済を復興しなければならない。日本が持つ知識と経験は、ウクライナにとって非常に重要だ」と期待を寄せた。

 世界銀行や国連などの3月時点の試算では、ウクライナの復興費用は4110億ドル(約58兆円)。今月にはロシアが占領するウクライナ南部のダムが決壊して大きな被害が出ており、さらに増えるのは確実だ。

 巨額の費用をまかなうには各国の支援だけでは不十分で、ロンドンでのウクライナ復興会議では「民間企業の参画の促進」が主要テーマになる。会議には日本からもインフラ関連など約20社が参加する見通しだ。

 そのうちの一つが東京工業大

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2023年6月21日11時1分 投稿
    【視点】

    言うまでもなく、避けたいのは、日本がウクライナ復興の全体方針の策定や個々のプロジェクト決定で蚊帳の外になってしまい、「お金だけを出さされる」というシナリオである。 日本が応分の資金的貢献をするのは当然として、欧米主導で復興プランが決まり、

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