女神像に性器を観察されるカク
怒りの方が勝ってて発情してる場合じゃない感じなのかなこの渋さは
『こっち向いておちんちんよく見せて♡』
「…………」
額やこめかみに太く青筋を浮かべ、ぎりぎりと血が流れるほど唇を噛み締めながらカクは女神像に向き直る。作り物の像の目は動かないが、動かずともその視線が発言通りカクの局部に向けられていることは分かり易かった。
握りしめた拳は動かない。手で覆うことも出来なければ脚で隠すことも出来ず、像が満足するまで、ひたすらに己の一物を晒すことを強いられる。
自分のモノを人に見られるなど、幼い頃故郷で他の子供達と共に風呂を入った時か、浴場で仲間と居合わせた時程度だ。それだって異性とは別部屋だったし、同僚であるカリファにだって見られたことはない。
(それでもこれは人間じゃないんじゃ…女を模しただけの喋る人形……)
だから見られることを恥じる必要はないのだと、固く目を瞑って屈辱に耐える。像が次に言葉を紡ぐまでの時間は、カクにとっては永遠のように思われた。