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【ニューヨーク=金子靖志】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)など米メディアは、ニューヨーク州の連邦裁判所で審理中の民事訴訟で、弁護士が対話型AIサービス「チャットGPT」を使って作成した準備書面に、実在しない判例が多数含まれていたと報じた。裁判所は「前例のない事態だ」として、弁護士への懲戒の可否などを検討するため、来月に審理を開く予定だ。
同紙によると、問題が起きたのは、2019年に米ニューヨーク行きの航空機内で配膳用のカートが当たってけがをしたとして、乗客の男性が南米の航空会社を訴えた訴訟。男性の弁護士が提出した準備書面には、航空会社が被告になった過去の判例が複数、引用されていた。
判例が見つからなかったため、裁判所が弁護士に確認したところ、チャットGPTを利用したことを認めた。書面には、チャットGPTが作成した6件の実在しない判例が引用されていたが、弁護士はこの判例が実在するかどうかもチャットGPTで確認していた。この弁護士は実務歴30年のベテラン。チャットGPTを頼ったことを後悔し、「情報源として信頼できないことがわかった」などと説明しているという。