新電力とは 大手より安価、シェア2割弱
きょうのことば
▼新電力 東京電力ホールディングスなど電力大手10社以外で、電気の小売りを手がける事業者のこと。2016年の電力の全面自由化によって新規参入が増え、足元で約700社にのぼる。大手電力より数%安い価格設定で顧客を獲得し、7月時点のシェア(販売電力量ベース)は17%となった。
新電力のほとんどの事業者は自前の発電所を持たず、卸電力市場や大手電力との個別契約に電源を頼る。法人向けではNTT系のエネット(東京・港)、家庭向けでは東京ガスが最大手だ。上位には石油元売りやガス会社、通信事業者などが名を連ねる。携帯電話回線やガスとのセット割引きで、本業のサービスの解約率を下げる狙いもある。
20〜21年の冬に日本全体で発電燃料の液化天然ガス(LNG)が不足し、電力の需給が逼迫した。卸電力市場の高騰が経営を圧迫し、新電力の倒産や撤退が相次いだ。23年に入り市場価格が落ち着き、営業を再開する新電力も出てきた。電気の需要が高まる夏や冬に再び市場が高騰する恐れもある。自前の電源確保や料金メニューによる差異化が課題となる。
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